端渓坑仔岩随形門字硯

端渓坑仔岩随形門字硯

たんけいこうしがん ずいけいもんじけん

無傷で大きい良材は大変稀少である。
小さく分割せず、材の大きさをそのまま活かし作硯した。
筆文字文化が薄れた昨今では大硯は一部の専門揮毫者、
コレクターのアイテムとなっている。
大きい硯は材の少なさ、使用者、所有者の減少を要因として生活から遠ざかっている現状だ。
しかしながら大硯には小さい硯では味わえない旨味がある。
それは決して大振りゆえの雑味ではない。むしろ真逆にある。
広大な墨堂は墨を磨る時間を優雅なひとときへ変える。
墨だけではない。
手を這わせば掌を柔らかく包み込み、抱いたその重みは材が何たるかを明確に実感させる。
これら居心地の良さは硯の包容力の大きさに直結している。
私は大きな硯は住まいに似ていると思っている。

  • 硯材|端渓坑仔岩
  • 様式|淌池硯
  • サイズ|
    254×175×27mm
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この硯について

撮影:河内彩