【野筆】伊達政宗公の愛用硯の材であり、藩外流出を禁ずる御触れからついた名を持つ「御留石」。宮城県雄勝で産出され続け、六百年を越える歴史のある名坑である。本坑は近隣坑産出玄昌石に比べ石の構造が複雑であることから重機採石に向かず現在でも人力によるツルハシ、テコでの採石が唯一の方法となる。よって、山、斜面、層に対しての理解は必須である。伝統的採石法の学びを兼ね頂戴した御留石を当時政宗公に献上した名工に思いを馳せ作硯に取り組もうと思う。作硯前に採れたての名材を記録することとした。私が思う「硯」が最も美しい姿である。
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撮影:齋藤芳弘